ヤツとの戦い
なんていうか、分かってた。仕事の途中からやつにとりつかれたことに。もうね、それしか考えられないの。パソコン打っても、電話対応しててもジワジワやつが攻撃してくるの。
我慢なんかする必要はないんだよ。君の全てを解放してごらんよ。ほら、怖くも恥ずかしくもない、僕がついてるからさ。
そんな現実世界では一切かけてもらえない甘い囁きを耳元で何度も何度も、、、どこまで私を弄んだら気が済むんだ。世の中にはもっと美人で知的な女性はいっぱいいるから、そっちに行きなよ。
いやいや、君がいいんだよ。君の体温、声、表情すべてが僕を震わせるんだ。こんなに心地いい場所はここしかないんだよ。君がぼくを夢中にさせたのが悪いんだ。ねぇ、そう思わないかい?
またそんなこと言って私をいじめるのね。来てなんて頼んだ覚えもないないし、ましてやあなたがいなくて寂しいと思ったこともないわ。私はひとりで生きていけるの。あなたが側にいなくても強い女でいられるわ。
そうか、こんなに僕が想ってるのに君は答えてくれないんだね。いいさ、いつか君を振り向かせて見せる。僕はこんなことで諦めるおとこじゃないからね、、、。
こんな気色悪い妄想のあげくヤツに打ち勝ったのに、、、のに、、、。いざ、決戦の場に行くと怖気付きやがんの。口だけだったのね。
返してよ、私の最寄駅のトイレまでヤツと戦ったこの苦悶の時間を。まぁ、いい。またいつでも戦ってやる。こんなことでビビる女じゃないわっ!!!
(どうか、お布団の中が大惨事になるのはさけられますように、神様)