騙される女
詐欺?
そんなものに引っかかるわけない。こんなに疑りぶかくてケチな私なのにうさんくさい儲け話に乗るはずがない。もし私のところに電話してきたら、あらゆる罵声を浴びせてやるわっ!!
っと生まれた時から意気込んでいた私。
いやー、だけどね。
オトコが絡むとこれでもかってコロッといってしまったよね。スーツの似合う爽やかイケメンの笑顔に一気に昇天したよね。
最初は普通のデートだった。
オサレなカフェいったり、カラオケ行ったり、ウィンドウショッピングしたり、夜景の見えるところでイチャコラしたり。もう、ザ・デートって感じのデート。
まぁいっつも彼がスーツだったのは多少気になってたけど、似合ってるからいいかとモウマンタイ。
なにせ、ナンパされたっていう強みがね。その瞬間から数年後の子どもがいる家庭まで想像しちゃってたもん。
で、そんな毎日を過ごしてた時に急に彼が真剣になるのね。
話を聞いてほしいと。
もちろん、聞くよね。愛しの彼の悩みならどんな事しても解決してあげる所存で。
僕は宝石のデザイナーをしてる。だけど、僕の宝石は全然世の中に出回らなくてだれも見向きもしてくれない。きみならきっと似合うし見るだけでいいから来てほしい。
あっ、もうお気付きのことかと思いますが、騙されてるよね。完全に私。お手本通りに騙されてる。その筋の番組で、再現VTRとしてとりあげられるくらい期待通りの流れ。
気がついたら薄暗い部屋で首から宝石をぶら下げている私がいた。
それが綺麗かどうかは分からないけど、彼は満面の意味で似合ってると微笑む。悪魔の微笑み。
そこに急に上司らしき別の女が紙切れをぺらっと持ってくる。
彼は決して騙すつもりじゃない。その宝石を純粋にあなたにつけてほしいと思っている。だから協力してあげて欲しい。
いやー、この上司と彼の半端ない期待感っていうの??獲物を仕留めるすんぜんのワクワク感っていうの??そういうのビンビン感じちゃったよね。
どうする私。今ならまだBダッシュで逃げられる、、、。
結果から言えば、普通にサインしちゃってた。しかも躊躇なくでっかい字で。金額にして百数十万。彼との未来を手に入れる為なら安いものだと自己完結。
控えを握りしめて帰宅したその日から彼からの連絡は途絶え、数日後に届いたおもちゃみたいなネックレスと分割払の明細書。
5年くらいかけて清算したのちに、やっと腹が立ってきて、買取店に持ち込んで査定してもらったら2万円也。しかもそれは周りの貴金属にたいするもので、宝石自体に価値はないと。
価値のない私みたいな中古品を超高級品並みのお値段でお買い上げした私。
おーい、あの時の彼。聞いている?私に似合うといった宝石はガラクタだったよ。私にはガラクタが似合うって最初から分かったてたんだね。なんていうか、、、払った代金を返しやがれ!!◇¥%#$☆して、*×▽
€したろかー、ああん?
で、その数年後に作業着をきたガテン系イケメンに騙されてる浄水器を購入したのは内緒。
騙される女の小話でした。