汗と私
こんなに暑かったらねぇ、もうどうしようもないよね。体の中の出なくていい水分まで出きっちゃってるよね。
私は昔っから汗っかきで、その弊害たるや数え切れないほどある。可愛い女の子は夏でも汗ひとつかかず、髪の毛サラサラー、服の汗染みなんてもってのほか。なんだったら冷房が寒いといって長袖なんか着ちゃうよね。
おいおい、ちょっと待ってよオネーサン。私なんて何も動かなくてもありとあらゆる毛穴から水分ダダ漏れですけどー。髪の毛なんて常にお風呂上がり状態をキープしてますけどー。長袖どころか、全部脱ぎたいくらいですけどー。
もうね、夏に私に着られてる服なんて悲惨よね。せっかく洗濯されて、太陽のもとカラッカラッに乾かされたのに、私が来た途端、洗濯機の中に逆戻りだもんけ。しかも若干の塩気ありで。
色々試しましたよ。
制汗剤とかスプレーとかね。でも、私の汗には太刀打ちできなかった。全部がお手上げ状態。昔あまりにも嫌気がさして、汗をかくから夏は学校へ行かないと親に宣言したら、数時間のお説教付きで却下された。
時間が経てば、体質も変わるかもしれないと期待して数十年。
、、、今年の夏も水分を撒き散らしながら生きてます。せめて臭いくらいね、ローズの香りとか石鹸の香りとかチョイスできたらいいのになと思うけど。
電車で座って太ももの後ろに服が張り付くあの感じ、いつの間にか脇に出来ている丸いシミ。
どれもこれももう慣れたもので、特段驚くことはない。むしろ 私は生きているっていう確固たる証拠をそこに刻んでいるような気さえする。
ただ、これだけは確実に言える。
汗をかきすぎる女子はモテナイ。デートで手を握った瞬間に感じる手汗、キスをする瞬間に目に入る顔に吹き出した汗。後ろから抱きついた時に感じる、背中の服の張り付き感。どんなロマンチックなシーンもぶち壊し。彼の恋心もぶち壊し。
だから、夏のデートは深夜に限る。
丑三つ時に待ち合わせをして、街灯がぼんやり灯る街中をダラダラ歩く。オシャレなディナーも映画を見るのも無理だけど、愛するふたりならそれだけで充分。きっと愛を深められる。朝の婚活が流行ってるように、夜中の婚活もありじゃないか。
そんな妄想に溺れて一度も実現しないまま34年。今日もまた私と汗の戦いが始まる。